市川訓睦×多門優×吉本菜穂子 稽古後座談会
「乱暴と待機」の稽古も中盤に差し掛かった某日、稽古後の市川さん、多門さん、吉本さんのお三方を捕まえてお話を伺いました。
――お三方は面識はあったのですか?
(多門)面識は全員無かった、俺。
(市川)僕、多門さんとは初めて。よしもっちゃん(吉本)と本谷は前一緒に芝居した。
(吉本)「1989」(03年青山劇場)でね。
――劇団、本谷有希子は毎回キャストを入れ替えてのプロデュース方式で公演していますが、吉本さんは前回、前々回からの続投なので3回連続出演ですね。
(吉本)そう、3回目です。
(市川)劇団員になっちゃえばいいのに。
(吉本)劇団員になるのってさ、結婚するみたいな感覚だよね。
(市川)自分が幸せになるならそれでいいんじゃないの?
――市川さんと多門さんは劇団、本谷有希子に出演されるのは初めてですが、稽古してみてどうですか?
(市川)演出が細かい(笑)
――よく言われます(笑)。だいぶ細かくなくなった方なんですけど・・・
(市川)これでも?
――「石川県伍参市(第七回公演)」の時まではすごかったんです。
(市川)そうなんだー
――多門さんはいかがですか?
(多門)うん、おもしろいね。でもちょっと大変。まあそれは予測してたから、おもしろいです。
――「大変だ」とは具体的に何が・・・?
(多門)大変じゃないんだろうけど、やり方はもう全然違うからちょっと苦戦してる。台詞が入ってこないの。それが一番かなと。シャンプー(THE SHAMPOO HAT)はリアルな芝居って言われるけど、俺あんま「芝居してる!」っていう感覚無くて。だからその中で精一杯本谷の求める「何か」をやってる。
――ホームであるTHE SHAMPOO HATとの演出の違いはありますか?
(多門)違うっちゃあ違うよねー、やっぱり。それはもう色んなやり方があると思うから。
(市川)本谷は、完成形が頭の中にあった上で演出してる感じがする。うち(拙者ムニエル)でやってる芝居とかは本当にもう何も無い状態から割りと現場で出たものをチョイスして行く感じなんだけど、こっちでは一字一句変えないでって言われたりするから戸惑う(笑)
(吉本)でも本谷は結構こっちの意図を汲んでるよね。あと演出に関して言えば、現場で思いついて作って行くんだみたいな余裕が前よりある気がする。前は本の段階で完成してないといけないっていうのがあったけど、今はベースを本にして、後は現場で様子見てやっていくんだみたいな感じがする。最初の出演の時(「石川県伍参市」)なんてね、通しを10日前から毎日やって、稽古なのにマチソワ(昼夜公演)とかがあって。稽古場10時入りでマチソワみたいなね。役者もみんな休憩中に口きかないの、疲れきって(笑)。でもなんかあれだよね、本谷の良いところってすごい一生懸命なとこだよね。本当に100%でやりたいっていう気負いがあってさ。良くも悪くも絶対諦めないっていうねぇ・・・。
(多門)ばんばんばんばん追加が出てくる。
(市川)すごいっすよね。
(多門)俺は根底の人物設定を考えて台詞を覚えて演じてるから、台詞を急に変えてとか言われると、その台詞を自然に出すのにすごい苦労する。だから今この段階でガンガンこれやってみてこれ足してみてって来ると、あぁもう全然、すぐには言えないからーってなっちゃう俺。
(吉本)本谷は、出てくる全てのキャラを際立たせたいっていう気持ちが強い気がする。キャラ先行なんだけど、ダメな人でも愛すべき人なんだっていうふうに仕上げて行こうっていう意思がすごい強い。
――誰一人損させないっていう。劇団、本谷は毎回いろんな役者さんを多方向から呼んでくるんですけど、本谷はその人のホームでその人が発揮してるのとは違うベクトルの魅力を発揮させたいと考えてるんですよね。
(吉本)私もハードルを作ってくれる方が助かる。逆に、「これ、前に似た感じのやったな」っていうキャラクターの方が難しかったりするから。新しいものがあってそこに行く方がやりやすい。
(市川)やる方はありがたいって言うか、やりがいはすごくある。だから、頑張ります!(笑)
(多門)俺も頑張ろう。
(吉本)私の中でのいっさん(市川さん)は8割方あの役そのままの感じ。あとサブウェイばっかり食べてる人。
(市川)サブウェイ大好き。お店あるとすぐ入っちゃう。
(多門)俺はサブウェイ食わないから分かんない。
――多門さんっていつも何食べてるんですか?
(多門)おいおい(笑)普通に食べてるよ、お肉とか。
(吉本)ダイエットしてるんじゃないの?
(多門)してるよ。痩せたでしょ?そんな事ないか(笑)
(市川)今のままでも細いのに、何をどうダイエットしようとしてるのか分からない。
(吉本)稽古初日から全然変わってないよ。普通に細いままじゃないの?
(多門)すっごいぷよぷよだよ。
(吉本)それがよくわからない。
(市川)30越えたら本当に、何これって瞬間があるんだよ。鏡とか見たりすると。
(多門)乳首の位置がすごい低くなってきてる、あれーみたいな(笑)
――筋トレとかしてるんですか?
(多門)つらいのヤダから俺、そういうのやらないの(笑)。
(市川)寝ないで食わないと痩せますよ。
(吉本)寝ないっていうのが重要なんだ。
(市川)寝ないで食わないと痩せる。本当に、これはいい。
(吉本)そりゃそーだわ。
――サブウェイばっかり食べるのに。
(市川)サブウェイ大好き。
(吉本)わたしはお酒が無いと生きていけない。でも昨日、断酒してた。昨日だけなんだけど(笑)すごい自慢したい。すごいの私、我慢した。
(市川)今回、稽古後に飲み行ったりとかって・・・初日以外無い。
(吉本)えーそうなんだー本当に。
(多門)俺、いっさんと飯食いに行った。
(市川)うん。多門さんとはよく飯を食う。
(吉本)本当に?今度みんなで行きましょうよ。
(市川)うん、是非是非。
(多門)俺、行かない。
(吉本)なんで!(笑)