稽古後
(本)ということで、こんばんは。持ち越して夜の部に入っちゃったんですけど。稽古があって、その後ですね。酒が入ったテンションでね。
――はい。前半は主に本谷さんについて聞いたので後半は主役の富岡さんに焦点を当てていきたいと思います。
(富)僕ね、ちゃんと主役なのはこれが初めてなんだよ。普通にセリフが多いから焦ってるってのもあるんだけど、昨日なんてマジで夢に出てきた。本番なのにセリフ覚えてない夢。だってまだ本番1ヶ月前とかなのにそんな夢見た。
(本)プレッシャーなんかな。
(富)そう、責任感じてるみたいなとこは、ある。男らしくね。
――でも稽古場だとそういうとこは見せないですね。
(富)うん。そこも男らしいから(やけに強調して)。僕、こんなに稽古に対して、前向きっていうのは久しぶり。だって、こないだだってー、結婚式の予定入ってたんだけどそれよりも稽古稽古って、キャンセルしたし。
(店員)トマトスパゲッティ―になりまーす。
(本、福)わーい。分けよう分けよう。おいしそー。結構量あるねー。お皿とってー。
(富)うん、でー、聞いてる?すげー前向きに稽古稽古ってなってー。
(本)結婚式行かなかったのはお金無かったからでしょ?(笑)
(富)わー。いやほんとに、稽古場が楽しいっていうか。どんどん生まれてくる感じがするからね。雰囲気も良いし、もっとやってやろうっていう……
(店員)こちらクリームスパゲッティ―になりまーす。
(本、福)はーい。わあ、すごーい。熱い熱い。食べよう食べよう。ね、ね、これもう1個たのもう。キャっキャ。あれ、で、なんだったっけ?
(富)…うん、まあたのしいよねぇっていういい話ね。
(本)あっそう。なんか面白いことやらないと!っていうプレッシャーはない?
(富)いや、自分も他のことやりたいって思うしね。
(本)なるほど。じゃあこれからどんどん出てくるんやね。今はセリフを覚えとらんだけであって、もー覚えたらどんどんエンジンかけてくれるんやね。
(富)あたりまえじゃんっ。
(本)(スパゲッティ―に夢中)これおいしー。
――(黙々と食べる福本)
(富)まあ、ねっ、今回は主役ってことでねホントいき込んでるってことだよね、うん。
(本)それが表の顔?
(富)いやいやいやいや全然本気本気。
――たまにすっごい冷めた目をしてますよね。
(富)(ごまかすように)あっはっはっは。ジュンとして冷めた目をしてるんだよ。
(本)ジュン君のキャラはつかめそうですか?
(富)まだねえ、迷ってるっていうか分からないとこもあるんだけどー、でもねえホントに本谷さんの話を聞いてやればいいんだろうなって。
(本)難しいね。その人(役)の性格を繋げることと芝居全体のことを考えることが微妙に食い違ったり。
(富)そうそう。自分の中のバランスを先に決めちゃうより本谷さんの言うことをまず聞いた方がいいんだろうなって思う。後は台本が最後までできたら全体のバランスってのも見えてくるだろうし。
(本)そうやね。今まだ全部ないからね…。
(富)でもすごいよね。1ヶ月前なのにほとんどできてるなんて、やっぱちゃんと書ける人なんだなって気がする。