――密かに、こう、一対一で溶け込んでるのかも。
(横)ああ、そうかも。
(竹)いつか(酒に)誘おうと思ってるんですけどねえ。トミー(富岡)と三人で飲んでたときにこんな話になったんだよね。
(横)そう。飲みに行こうぜ!みたいなノリになった時があって。でもその時、この人(竹厚)すごい大事な用事があったのに無理して来てー、で逆にすごく気を遣っちゃってー。
(竹)それほど嬉しかったんだよ。
(横)うん、こっちもすごい嬉しかったけど、無理はしてほしくなかった(笑)
(竹)最終的にあんま良い結果じゃなかったみたいだね(笑)
(横)あっはっはっは。
――今回の稽古場の雰囲気は、どう感じていますか?
(竹)稽古場の雰囲気……。難しいなあ。
――演出に対してでも。
(竹)うーん……。
――えっと、じゃあ他の稽古場との違いとかがあったら。
(竹)違いねえ……。特に感じないです。
――……あ、そう。えっと竹厚さんてどこで芝居してた人なんですか?御破算(松尾スズキ作演「人間御破算」)以外に。
(竹)僕はそのぉ、仲間内とかでちょこちょこと。
――そうなんですか。じゃあプロフィールにそれを書けばよろしいのに。
(竹)でもどうやって書けばいいのか分からない。
――(この人、大丈夫かなとか思いつつ)そーなんですかー。
(横)あはは。稽古場の雰囲気はね、今までと全然違う。本谷さんの演出も違うし、集まった人間の質っていうのかしら、それも違うと思う。演出はね、今まではすごい細かかったよね。でも今回は(本谷が)待ちの姿勢をしてるよね。だからこっちは緊張しちゃうんだけど。
――あ、そうなんですか。意外ですね。
(横)だってー本谷さん何にも言わないんだもん。
――演出席で人一倍楽しんでますよ。
(横)でも演じてる方からは見えないじゃん。あ、だから今回は結構自由にやらせてくれてる感じ。
――役者さん的にはいろいろ演出つけられるより自由にやらせてもらったほうがいいですか?
(横)いや、決してそんなことはないですけどー。なんか少なくともこれ位はこういう形でやってくださいっていう本谷さんの演出がある中で、こっちがどれだけ遊ぶかっていうプレッシャーが今回はある。そんな風に演出が変わったのはもしかしたら本谷さんが役者を経験したからかもしれない(ケラリーノサンドロビッチ原作、ブルースカイ脚本、村上大樹演出「1989」で本谷は役者をやった)。
(竹)ねえ、俺大丈夫かなあ。
(横)大丈夫だよ、竹厚さんは。ぜんっぜんイケてるんじゃねーの?
(竹)(ぼそぼそと何か喋ってる)
――もうちょっとおっきな声で。
(竹)(キョトンとしてる)
(横)まだまだ本領発揮されてない感じ?
(竹)こう、俺は何やっててもすらすら(セリフが)出てくる状態にならないと、だめ。
(横)ああ。なんか、アプローチの仕方ってあるよね。
(竹)うん。みんなは(台本を)持ちながらアドリブきかせてたりして、すごいなーって。
――自分はこういうやり方があってるってのは考えるものなんですね。
(竹)自然とそうなるんじゃないですかね。
(横)役者によっていろいろだよ。すごいガチガチに演技を決めてくる人もいるし。
――今回はそういう人いないですね。
(竹)だって決めてきても(本谷の演出によって)変わっちゃったりするからあんま意味ないんだよね(笑)
(横)ころころ変わるもんね(笑)
――それって役者的には大変ですか?
(横・竹)うーーーん…。
(横)でも、対応できないと駄目なんじゃないかなと思う。役者なんだから。
――(憧れの先輩をみつめる目つき)
(横)(見つめ返すひととき)
(竹)(キョトンとしてる)
(横)私は結構、クセになっちゃうタイプだから大変。180度変えてください、みたいのは。フィクショニア(劇団、本谷有希子、第五回公演)の時そうだったんだよね、小屋入り前日に。あれはちょっとやっぱ、泣いた。できるかなぁっていうプレッシャーで泣いちゃった。あれは思い出すだけで怖い。
「役者なら柔軟に対応できないとね」と語るかっこいい先輩・横畠さん。竹厚さんは何も考えていないみたいです。